マンション管理適正化法改正案が閣議決定
以前お知らせしましたように、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」及び「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の一部が改正されることが閣議決定されました。
そこで、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正内容について、少し説明したいと思います。
現行の第一条(目的)では、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展のために、マンション管理士の資格を定めること、マンション管理業協会の登録制度を実施すること等が挙げられていましたが、今回の改正では、①基本方針の策定、②マンション管理適正化推進計画の作成、③マンションの管理計画の認定が追加され、①と②について規定している新第二章、③について規定している新第三章が追加されました。ここが改正内容の大きなポイント箇所です。それでは、新第二章から見ていきたいと思います。
新第二章は「基本方針及びマンション管理適正化推進計画等」で、国土交通大臣が以下の基本方針を定めることとしています。
1. マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項
2. マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項
3. マンション管理適正化指針に関する事項
4. マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項
5. マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項
6. マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項
そして都道府県等は、この基本方針のもとに以下の事項を盛り込んだ「マンション管理適正化推進計画」を作成することができることになっています。
1. マンションの管理の適正化に関する目標
2. マンションの管理の状況を把握するために講ずる措置に関する事項
3. マンションの管理の適正化の推進を図るための施策に関する事項
4. 管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針に関する事項
5. マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する事項
6. 計画期間など
管理組合は、マンションを適正に管理するよう自ら努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるマンションの管理の適正化の推進に関する施策に協力するよう努めなければならず、都道府県等は管理組合の管理者等に対して必要な助言及び指導を行い、管理組合の運営がマンション管理適正化指針に照らして著しく不適切であるとを判断したときは、当該管理組合の管理者等に対し、マンション管理適正化指針に即したマンションの管理を行うよう勧告することになりました。
次に新第三章「管理計画の認定等」では、管理組合の管理者等は、以下の事項を盛り込んだ「管理計画」を作成して、都道府県等の長の認定を申請することができます。
1. 修繕その他の管理の方法
2. 修繕その他の管理に係る資金計画
3. 管理組合の運営の状況
4. その他国土交通省令で定める事項
申請した計画内容が基準に適合していると認められれば、認定されます。しかし、5年ごとに更新しなければ認定の効力を失います。また認定期間中は、都道府県等から管理状況の報告が求められ、管理計画通りに管理されていない場合には、改善措置が命じられることになります。
その他の改正点として、マンション管理業者による管理受託契約の重要事項説明については、認定管理者等から説明を要しない旨の意思表明があった場合は、書面の交付のみでも構わないことになりました。ただし、気を付けていただきたいのは認定管理者等から意思表明があった場合のみです。認定されていないマンションの管理者等から説明が不要と言われても、従来どおり重要事項説明をしなければなりません。また、マンション管理業者は管理受託契約の書面の交付を電子的方法によってもできるようになりました。