水害リスク説明を宅建業法の重要事項に追加
昨年に引き続き、大雨による川の氾濫等で、特に九州地方で大きな水害が発生しています。被害があった浸水場所は、ハザードマップで浸水が想定されていた場所とほぼ重なっていることから、ハザードマップは、住民が水害の危険性を把握するための重要な要素となっています。そこで、国土交通省は17日、水害リスクの説明(洪水、内水、高潮の有無と建物の所在地)を宅地建物取引業法の重要事項に追加すると発表しました。来月28日以降、不動産取引業者は、住宅の購入・入居希望者に対して自治体が作成した洪水や高潮などのハザードマップを提示して対象物件の位置を示すことが義務化されます。説明を怠った業者に対しては、特に悪質な場合は業務停止命令などの行政処分が行われます。
新設された水害リスクの重要説明事項内容は以下のとおりです。
宅地建物取引業法第三十五条第一項第十四号関係
法第三十五条第一項第十四号の省令事項(規則第十六条の四の三)について
3の2 水防法の規定による図面における宅地又は建物の所在地につい (新設) て(規則第16条の4の3第3号の2関係)
本説明義務は、売買・交換・貸借の対象である宅地又は建物が水防法(昭和24年法律第193号)に基づき作成された水害(洪水・雨 水出水(以下「内水」という。)・高潮)ハザードマップ(以下「水 害ハザードマップ」という。)上のどこに所在するかについて消費者に確認せしめるものであり、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを、洪水・内水・高潮のそれぞれについて提示し、当該宅地又は建物の概ねの位置を示すことにより行うこととする。
本説明義務における水害ハザードマップは、取引の対象となる宅地又は建物が存する市町村(特別区を含む。以下同じ。)が配布する印刷物又は当該市町村のホームページ等に掲載されたものを印刷したものであって、当該市町村のホームページ等を確認し入手可能な最新のものを用いることとする。
当該市町村に照会し、当該市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップの全部又は一部を作成せず、又は印 刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことが確認された場合は、その照会をもって調査義務を果たしたことになる。 この場合は、提示すべき水害ハザードマップが存しない旨の説明を行う必要がある。
なお、本説明義務については、水害ハザードマップに記載されている内容の説明まで宅地建物取引業者に義務付けるものではないが、水害ハザードマップが地域の水害リスクと水害時の避難に関する情報を 住民等に提供するものであることに鑑み、水害ハザードマップ上に記載された避難所について、併せてその位置を示すことが望ましい。また、水害ハザードマップに記載された浸水想定区域に該当しないことをもって、水害リスクがないと相手方が誤認することのないよう配慮するとともに、水害ハザードマップに記載されている内容については今後変更される場合があることを補足することが望ましい。